【精神疾患患者搬送の完全ガイド】ー専門スタッフが徹底解説ー

◆ はじめに
精神疾患のご家族を病院へ連れて行く必要がある——。
そう感じた時、多くのご家庭は次のような壁に直面します。
- 本人が「行かない」と拒否する
- 大声を出す・興奮する
- 夜間に状態が悪化する
- 暴れてしまい手がつけられない
- 救急車を呼んでも「精神科は対応できません」と言われる
- 入院決定後に“連れて来てください”と指示されるが方法がない
精神疾患の搬送は、身体疾患の搬送と大きく異なり、
心理面・環境要因・言葉かけの一つで状態が急変する
非常に繊細なプロセスです。
リーベルでは、精神科に精通した看護師・救命士が同行し、
安全な誘導・状態観察・環境調整 を行いながら搬送を行っています。
この記事では、精神疾患搬送の全体像、必要性、対応の流れ、
ご家族が知っておくべきポイントを包括的に解説します。
🔊【ご家族の悩み】
「病院へ連れて行きたいのですが、“絶対に行かない”と言われてしまって…声をかけると怒り出すのでどうしていいか…」
「このケースは非常に多いです。
精神疾患の方は不安が強い時ほど拒否が強まるため、
強引な説得は逆効果 になります。
今日はご移送の流れについてご説明いたしますね」
◆精神疾患搬送とは?
精神疾患搬送(精神科搬送)とは、症状によって自力で安全に移動できない方を、医療的な観察と心理的配慮を行いながら病院へ移送するサービスです。
◆搬送が必要になる代表的な精神疾患
精神科領域では、病名よりも「症状の強さ」「危険性」「意思決定能力」で判断しますが、参考として以下の疾患が多く搬送対象になります。
① 統合失調症
- 幻覚(声が聞こえる)
- 妄想(誰かに見張られているなど)
- 被害感
- 拒絶
- 昏迷・興奮の波
特徴:症状の波が激しく、急に拒否・興奮が高まることがある。
② 双極性障害(躁・うつ)
躁状態では以下が起こりやすい:
- 多弁
- 過度の自信
- 衝動行為
- 金銭トラブル
- 夜間徘徊
- 他者と衝突
③ うつ病
- 動けない
- 食事・水分が取れない
- 自傷リスク
- 自殺念慮
④ 認知症(BPSD)
- 幻覚・妄想
- 帰宅願望
- 不穏(興奮)
- 介護拒否
⑤ 発達障害・知的障害
- パニック
- 環境変化への抵抗
- コミュニケーションの困難さ
🔊【精神科疾患の“症状の波”】
「昨日は話ができたのに、今日は全く聞き入れてくれません…」
「精神疾患では、“症状の変動が激しい”という特徴があります。
前日できたことが、当日はできない。こうした変動を前提に、搬送方法を柔軟に変えていくのが私たちの役目です。」
◆精神疾患搬送が一般の搬送と決定的に異なる点
【① 状態が変動しやすい】
心理刺激により急に興奮・拒否が強まる。
【② 声かけ・距離感・環境調整が搬送成功の鍵】
これは専門訓練が必要。
【③ 搬送ストレス自体が症状を悪化させる】
→ 通常の介護搬送とは難易度が大きくあがります。
🔊【危険な声掛け vs 安全な声掛け】
ご家族(よくあるNG言動)
「どうして行かないの!?病院に行かないと困るでしょ!」
スタッフ(適切な声掛け例)
「今日は落ち着いて過ごせる場所に行くので安心してくださいね。私が一緒に付き添います。」
『否定せず安心を与える』 が鉄則。
◆医療現場で使われる『デエスカレーション』技術
デエスカレーションとは、
興奮しそうな相手の緊張を下げて、落ち着いた状態へ誘導する技術 です。
当社も用いる主な技術は以下などがあります。
✔ 声のトーンは小さめ、低め
✔ 目線を合わせすぎない
✔ 指示は1つずつ
✔ 否定しない
✔ 距離を取り圧迫感を与えない
✔ 刺激(光・音・人)を減らす
✔ 状況把握とペースの尊重
これらを組み合わせることで、
興奮のピーク前に安全に誘導できます。
🔊【興奮時の環境調整】
スタッフ
少し気持ちが高ぶっているときはTVの音を下げたり、照明を暗くしたりすると、少し落ち着いたりすることもありますよ
「そんなことで変わるんですか?」
「はい。精神症状は“環境刺激”に非常に敏感なんです。実際、これだけで別人のように落ち着く方もいらっしゃいます。」
◆精神科入院の種類
精神科の入院には次の種類があります。
① 任意入院
本人の同意あり
② 医療保護入院(保護者+医師)
本人の同意なしでも可能です
※家族が最も悩まれる部分…
③ 措置入院(行政判断)
自傷他害のリスクが高い場合
警察+行政+指定医が関与します
🔊【医療保護入院の相談】
「本人が嫌がっていても、入院ってできるんですか?」
「はい。“医療保護入院”という制度があり、家族の同意と医師の判断で入院できます。
ただし搬送は安全配慮が必須なので、専門スタッフが同行する形が望ましいです。」
◆リーベルの精神科搬送の特徴
✔ 看護師が状態観察(精神医学に基づく評価)
✔ 救命士が安全確保(リスクマネジメント)
✔ 興奮ピーク前の“予兆”を察知
✔ 車内環境の調整
✔ 長距離でも看護師、救命士が継続的に観察
✔ 病院への情報引き継ぎ
他社との決定的な違いは、「搬送中の精神症状変化をリアルタイムにケアできる点に強みがあります。
🔊【長距離搬送の不安】
ご家族
「地方の病院を紹介されたのですが…長距離でも大丈夫ですか?」
「精神科の長距離搬送の最大のポイントは、休憩タイミングと刺激管理 です。
看護師が同乗し、車内の環境を一定に保ちながら進みますのでご安心ください。」
◆ご搬送までの流れ
- 初回相談(電話・LINE)
- 既往歴・薬歴・現在症状のヒアリング
- 入院・受診先確認
- 搬送計画の立案
- 当日訪問・状態評価
- 誘導
- 車内搬送
- 医療機関への引き継ぎ・説明
- 搬送後フォロー
◆ご家族が“今すぐできること”
- 照明を暗くする
- テレビ・スマホ音を消す
- 刺激を与えない
- 否定しない
- 「安心」を繰り返す
🔊【今まさに困っているご家族へ】
「もう限界なんです…どうしたらいいのか分からなくて…(涙)」
「本当に大変でしたね。ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
状況が改善するようにまずは安全を最優先に、一緒に整理しましょう。」
◆【まとめ】
精神科搬送は、
医学・心理学・危機介入技術 が必要な専門領域です。
リーベルは “東京消防庁認定事業者” として、
看護師・救命士が中心となり、
安全で寄り添う搬送を提供しています。

