病棟から訪問看護へ転職して、実際に何が変わったか

「訪問看護に興味はあるけれど、一人で利用者さんの家に行って、自分の判断で動けるだろうか」

病棟から訪問看護への転職を考えるとき、多くの方が最初にぶつかるのがこの不安です。調べてもよく出てくるのは、人材紹介会社が書いた一般論ばかり。実際のところどうなのかが、いちばん知りたいところだと思います。

この記事は、東京都国分寺市で訪問看護ステーションを運営している私たちが、自分たちの実際の数字と経験をもとに書きました。書いているのは、急性期病院を3年で辞めて訪問看護の世界に入り、現在リーベル訪問看護ステーションを運営している塚本です。

病棟と訪問看護、実際に何が変わるのか

よく言われる「対1人でじっくり関われる」という説明は間違ってはいませんが、抽象的すぎて判断材料になりません。日々の仕事として何が変わるのかを、具体的に並べます。

病棟訪問看護
判断のタイミングその場で先輩や医師にすぐ確認できる訪問先では基本的に一人。ただし電話やチャットで随時相談できる
1日に関わる人数受け持ち+フォローで多数1日4〜6件
関わる深さ入院期間で区切られる数か月から数年、生活ごと
時間の使い方勤務時間は病棟に拘束される移動時間がある。訪問の順番は自分で組み立てる
記録所定の時間にまとめて訪問の合間や移動の前後
評価されること限られた時間で安全に多くをこなすその人の生活が続いていること

大きいのは「関わる深さ」だと思います。病棟では退院した先のことは基本的にわかりません。訪問看護では、退院後の暮らしがどうなったかを、自分の目で何年も見続けることになります。ここに手応えを感じる人にとっては、病棟に戻れなくなるくらいの違いです。

「一人で行く」という不安の正体

率直に言うと、一人で決断しなければならない場面は、想像されているより少ないです。判断に迷った時点で電話をかければいい。その場で結論を出さなければならない状況は、実際にはあまり起こりません。

本当の問題は「相談していい空気があるかどうか」で、これは事業所によって大きく違います。忙しそうな管理者に電話をかけづらい職場では、一人で抱え込むことになります。

ですので、見学に行かれる際は「訪問中に判断に迷ったとき、実際はどうしていますか」と聞いてみてください。制度や仕組みの説明ではなく、具体的な場面の話が返ってくるかどうかで、その事業所の実態がわかります。

私が病棟を辞めて、訪問看護に関わるまで

参考までに、私自身の話をします。

急性期病院に3年勤めました。やりがいはありましたが、一人ひとりと向き合いきれないもどかしさがずっとありました。目の前の業務は終わるのに、その人の人生に関われている実感が薄い。

退職後、訪問看護の非常勤を2か所で1年半ほど経験しました。そこで実感したのは、患者さんは治療の対象ではなく、その人らしい生活を生きている人だという、当たり前だけれど病棟では見えにくかったことです。

同時に、もうひとつ気づいたことがあります。入院から在宅に移るとき、支援が途切れる。退院の日の移動、そこから始まる生活の立ち上がり。ここが誰の担当でもない状態になっていました。

その違和感が、搬送事業を立ち上げる動機になりました。看護師の視点を持ったまま、移動から生活までをつなぐ支援をつくりたかった。そして2年後、自社の訪問看護ステーションを開設しました。

つまりリーベルは、「病棟から訪問看護へ移った人間」が、その経験を起点につくった事業所です。移るときに何が不安だったかは、私自身がよく覚えています。

オンコールは、事業所によってまったく違います

「訪問看護 オンコール きつい」は、転職を考える方が必ず調べる言葉です。ただ、この負担は事業所によって桁が違います。件数を公開している事業所が少ないため、比較しようがないのが実情です。

参考までに、リーベルのオンコール当番は月3〜5日です。当番は分担制なので、看護師の在籍人数が増えるほど、一人あたりの日数は減っていきます。極論すれば30人いれば月1日です。私たちが大規模なステーションを目指している理由のひとつが、ここにあります。なお、リハビリ職にオンコールはありません(看護師のみが対応しています)。

この数字が多いか少ないかは、他と比べないと判断できないと思います。ですので見学に行かれた事業所では、必ず実際の件数を聞いてください。「体制としてはあります」ではなく、先月何件鳴ったか。答えられない、あるいは答えたがらない場合、その理由を考えたほうがいいかもしれません。

未経験・ブランクからの立ち上がり方

訪問看護未経験でも問題ありません。実際、リーベルでも未経験から入ったスタッフが働いています。ただし「未経験歓迎」と書いてある事業所が、実際にどう育てているかは確認したほうがいいです。

リーベルの場合はこうしています。

  • 入職後1か月は先輩看護師が同行します
  • 新人同行は月50件、その都度フィードバックを行います
  • 未経験の方も、おおむね2か月以内に単独訪問へ移行しています
  • 訪問中の疑問は、LINEや電話で先輩にすぐ相談できます

ブランクがある方も同様です。焦って担当を増やすことはしません。

働き方の数字

生活が続けられるかどうかは、結局こうした数字に表れます。リーベルの実際です。

スタッフ体制看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・専任事務が在籍
スタッフ定着率90%超
ご利用者数約160名
1日の訪問件数4〜6件(午前3件が目安)
オンコール当番月3〜5日(看護師のみ・分担制。在籍人数が増えるほど1人あたりの当番は減ります)
残業月平均2時間以内(音声入力対応の電子カルテ/レセプト・物品発注は専任事務が担当)
年間休日123日以上(完全週休2日制・土日祝休み)
産休・育休復帰率100%(時短勤務・曜日限定勤務あり)
未経験からの単独訪問おおむね2か月以内
移動手段自動車・原付・電動自転車・自転車(全職員にiPhone・iPadを支給)
訪問エリア国分寺市・小平市・国立市・府中市・小金井市
※2026年9月時点の体制・実績です。数値は年度により変動します。

1日の訪問件数を公開している事業所は多くありません。件数は収益に直結するため、事業所の姿勢がいちばん出るところです。1日の流れのページでは、時刻つきのスケジュールも公開しています。

正直に言うと、向いていない人もいます

採用する側として都合のいいことばかり書いても仕方がないので、率直に書きます。次のような方には、訪問看護は向かないかもしれません。

  • 常に誰かに確認しながら進めたい方 ── 相談はできますが、その場に人はいません
  • 医療処置の頻度と量にやりがいを感じる方 ── 在宅では生活を支える関わりの比重が大きくなります
  • 車や自転車での移動が苦手な方 ── 1日の中で移動している時間は決して短くありません
  • 決まった手順を正確に反復することが得意な方 ── 家ごとに環境も物品も違うため、その場で工夫する場面が多くなります

逆に、「この人の暮らしがどうなっていくのかを最後まで見たい」という気持ちがある方には、これ以上ない仕事だと思います。

リーベルならではの環境:搬送・福祉用具・ケアマネが同じ会社にあります

冒頭で書いた「入院から在宅へ移るときに支援が途切れる」という違和感が、そのまま会社の形になっています。

リーベルは、訪問看護と同じ法人で民間救急と介護タクシーを運営し、救急車を含む搬送車両を自社保有しています。
退院の日の移動、通院、急な体調変化での搬送を、社内で一体的に対応できます。

退院前カンファレンスに参加し、退院当日は自社の車両で送り、その足で在宅の看護が始まる。
この一連を同じチームで見られる環境は、そう多くないと思います。希望される方は搬送への同乗も経験できます。

さらに、同じ法人で福祉用具貸与居宅介護支援事業所(2026年11月開設)も手がけています。これが現場ではかなり効きます。

  • 福祉用具 ── 「この手すりがあれば自分でトイレに行ける」と気づいたとき、外部業者を待たずに社内で動けます。理学療法士が選定に関わるので、体の状態に合った提案ができます
  • ケアマネジャー ── 制度上の相談や区分変更の話を、同じ会社の中で気軽にできます。ケアプランの調整の待機時間が減ります

看護・リハビリ・移動・福祉用具・ケアマネジメントが一つの法人にそろっている訪問看護ステーションは、日本全国でも多くありません。
「これがあればこの人の暮らしが続く」と気づいたときに、自分たちで動かせるという手触りは、働くうえでの満足度に直結すると思います。

迷っている段階のご相談で構いません

「転職するかどうかもまだ決めていない」「話を聞いてから考えたい」という段階のご連絡を、いちばん歓迎しています。見学だけ、質問だけでも大丈夫です。オンラインでもお受けしています。

この記事を書いた人

塚本 昂平(つかもと こうへい)

株式会社BTH 代表取締役/看護師

急性期病院で3年間勤務したのち、訪問看護の現場を経験。入院から在宅へ移るときに支援が途切れる現実に違和感を持ち、看護師の視点を持ったまま「移動」から生活につながる支援をつくるため、2022年3月に株式会社BTHを設立。民間救急・介護タクシーによる搬送事業を立ち上げ、リーベル訪問看護ステーションを開設した。現在は訪問看護に加え、福祉用具貸与、2026年11月開設予定の居宅介護支援事業所まで、在宅生活を支える機能を自社で一体運営している。

リーベル訪問看護ステーション(指定事業所番号 1363190131/訪問看護・介護予防訪問看護)
東京都国分寺市西元町2-17-14 2階 TEL 042-312-0921

塚本 昂平が書いた記事一覧 | 運営会社・事業所の情報を見る

記載の条件・体制は変更されることがあります。最新の内容は採用情報ページをご確認ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です